日本には昔から、何にでも効く薬があると言われていました
それが「人間の肝」であります
特に胆嚢と肝臓が病気に効くと言われていました
では、生き胆を巡った事件を一つ紹介致しましょう・・・・・
とある村に住む斧兵衛という男がおりました
ある日斧兵衛は、素性の知れない医者から「寅年生まれの少年の生き胆は、らい病にとてもよく効く」と聞きました
斧兵衛はバクチで借金だらけだったので、寅年の少年の生き胆をとり、売ることを考えたのです
仲間二人を引き連れて、探し出したのが10歳の百姓の倅・米蔵でした
斧兵衛ら三人は、米蔵を誘い出しました
そして米蔵を裸にし、河に漬け、胸から腹をTの字に切り裂いたのです
それでも米蔵は絶命しませんでした
すると斧兵衛は、何度も米蔵の喉を小刀で刺したのです
米蔵の体は綺麗にTの字に切り裂かれていました
これは綺麗なままの形で肝をとるためだったのです
男たちの金儲けのために、生きたまま体を切られた少年
このような事件は、数多くあったのです
さて、人斬り浅右衛門こと山田浅右衛門の家には「肝蔵」がありました
処刑された罪人の死体から肝を取り出し、蔵へ置いておきました
それを販売していたのです
販売していたのは「肝」だけではありません
脳みそも販売しておりました
山田家が売っていた薬で有名なのは「浅山丸(あさやまがん)」という肺病に効くという薬
作り方は、斬った罪人の体が温かいうちにみぞおちを斬り、傷口から手を入れて胆を引き出す
そして小刀で切り離し、肝汁が出ないように切り口をすぐに縛る
そして肝をまるで柿を干すように陰干しして、乾いたら丸い粒にするというものでありました
日本では昔から、人体から斬りとったものを薬にするという風習が間違いなくあったのです
この風習は文明開化が始まった明治時代にも残っておりました
明治時代の新聞にも「治療のために人肉スープ」を飲んでいるという記事や、母親の病気を治すために妻の生き胆を取って食べさせた・・・など、人肉が効くという記事が数多く残っているのです
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