耳無芳一
みみなしほういち


祇園精舎の鐘の声

諸行無常の響きあり

沙羅双樹の花の色

盛者必衰の理をあらわす

おごれる人も久しからず

ただ春の世の夢のごとし

たけき者も遂には滅びぬ

偏に風の前の塵に同じ



壇ノ浦の合戦において平家は源氏に破れました

そして「平家物語」が唄われるようになりました

唄っていたのは「琵琶法師」

この物語は琵琶法師・芳一の物語です・・・・


芳一は目の見えない琵琶法師でした

芳一の唄語は非常に上手で、聞く人の涙を誘うものでした

そんなある晩のこと

芳一の家の戸を叩く音がしました

トントン

「はい。なんでございましょう」

「わたくしはとある武士でございます。あなた様の弾き語りが非常にうまいとお聞きしました。是非わたくし達の前で
琵琶を演奏していただけないでしょうか?」

芳一は快諾しました

そして武士に連れられるままにある家にたどり着いたのです

そこで芳一は平家物語を唄いました

男女のすすり泣く声が絶え間なく聞こえました・・・


翌日、またも同じ武士がやってきました

「今晩も是非、お聞きしたいのですが」

こうして芳一は毎晩、この屋敷に連れられ

平家物語を唄っていました


すると近くの寺の和尚様が

「最近、芳一が急激にやせ衰えている・・・。

毎晩どこへ行っているのか?」

怪訝に思った和尚様は、翌日、芳一の後をつけることに

すると芳一は、青白い火の玉とともに歩いていました

そして、古いお墓の中で、

数多くの青白い火の玉の前で平家物語を唄っていたのです

和尚様は驚きました

「このままでは芳一は平家の亡霊にとり付かれ死んでしまう」



和尚様から話を聞いた芳一は驚きました

「どうすればよろしいのでしょうか?」

すると和尚様は芳一の体中に

念仏を書いたのです

「こうすれば平家の亡霊は芳一の姿が見えないはずじゃ
明日の朝まで我慢するがよい」

夜になりました

いつものように芳一の家の戸を叩く武士が現れました

「芳一殿。芳一殿」

芳一は部屋の隅でガタガタと震えておりました

「芳一殿。どこにいらっしゃるのですか?
今晩も我らの前で平家物語を唄って下され」

が、芳一は返事もしません

「芳一殿・・・・・・。どこにおられるのですか」

次第に武士の声が大きくなってきました

「芳一!!芳一!よもや我々の前で唄えぬというか!
どこじゃ芳一!」

武士は部屋を探し出しました

「おのれ芳一!!!!芳一!!!!」



すると・・・




そこにいたのか・・・・・



そして武士は芳一の耳をガシリと掴んだのです

そう、和尚様は芳一の耳に念仏を書くのを
忘れてしまったのでした




ビリビリッ ビリビリッ

ものすごい激痛が芳一の体を貫きました

が、声を出せば体ごとあの世へ持っていかれてしまう


芳一は我慢して声を出さずにいました


すると武士が


「おのれ芳一!だがおぬしの耳は貰って行くぞ!!」


こうして芳一は一命は取り留めましたが

耳を平氏の亡霊に持っていかれたのです・・・・



平家の落武者伝説は

日本に数多くあります・・・


あなたの家お近くにも

平家の落ち武者が眠っているかもしれません・・・・




   

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