江戸っ子の一生             



江戸っ子の一生を誕生から順番に!




妊 娠

今も昔も、子供ができたら「元気に生まれてきますように・・・」と思うのが親

もちろん江戸時代もそうでした

無事な出産を願っていました

妊娠したことがわかると、五ヶ月目の戌の日に「岩田帯」という白い布をおなかに巻きます

こうして「妊娠していますよ」というのを周囲にアピールするんですねぇ

ちなみにこの時代は男尊女卑が激しい時代なので、みーんな「男の子」が生まれることを願っていました






出 産

いよいよ出産

新しい命の誕生でございます

現在では産婦人科がありますが、この時代はもちろんなし

ということで、経験豊富なおばあちゃんがお手伝い

このおばあちゃんのことを「取上婆(とりあげばば)」と呼びます

取上婆の権限は「もうすぐ生まれそう!」という連絡が入った時、大名行列の間を駆け抜けてもOKというもの

フツー、一般人が大名行列の前を横切るなんて大変なことですが、取上婆に限り「子孫繁栄」の象徴としてOKだったのです

こうして取上婆によって取り上げられた赤ちゃん

赤ちゃんはまず最初に産湯に入れて清められます

産湯は出産してから3日目と7日目にも行われます

お母さんは7日目に床上げし、お風呂に入ります

そしてこの後、お化粧をして親戚や仲人などを呼んで祝宴

ここで赤ちゃんの名前を発表するのです





100日目 お宮参り

今でも行われるお宮参り

江戸時代では男女とも100日目に氏神様へお参りに行きました

生まれて初めての参詣なので、親は子供をつねってわざと泣かせて、神様の注意を引くということをしてました

余談ですが、現在のお宮参りは女の子が32日目で男の子が33日目





七五三

子供がすくすく育つと、行われるのが七五三

現代とはちょっと違って、三歳の男女とも髪の毛を伸ばし始めます

それまでは男女とも丸坊主

つまり赤ちゃんから子供になったということです

五歳のお祝いは男の子

主に武家の家の行事なんですが、男の子に裃(かみしも)を初めて着せるというもの

七歳は女の子の行事で、帯解(おびとき)といって、着物の付紐をやめて帯で締めるという儀式

この時もそれぞれ氏神様にお参りに行きます




寺子屋

子供は6・7歳になると寺子屋へお勉強しに行きます

寺子屋というのは今のように義務教育ではありません

授業は一日六時間

学費はまちまちで、身分によって違います

書道や読み書きなど色んなコトを習います

先生はおもにお医者さんや僧侶・浪人など





青春時代

お年頃になると、もちろん気になるのが「異性」

江戸時代は親の意見が第一で、自由に恋愛などできない時代

それでもやっぱり若者同士、イロイロとあるワケです

ちなみに江戸時代は結婚も早かったので7歳になったら男女一緒に寝るのはNGでした

それは置いといて、お年頃になると親が決めた相手と結婚することとなります

会ったこともない相手と結婚することになってました

だから愛し合った若い2人が心中するという事件も数多く起きたのです




お見合い

結婚は、恋愛結婚はまずナシ

親が決めた(というか、父親)相手と結婚することとなります

結婚の条件はまず家柄

お互いの家柄や財産が同じくらいじゃないとダメ

で、条件がそろうと仲人が出てきます

仲人ってのは、結納金の十分の一をお礼にもらえるので、仲人といった職業の人もいました

ちなみに仲人が適齢期の男女を物色して縁談を持ってくるというパターンもあります


こうして初顔合わせとなります

お見合いの場所は水茶屋か芝居が多く、両家がそれぞれお互いをチェックしあいます

で、気に入らない場合は席を立つ

こうなると不成立となります

お互い気に入ったのであれば、すぐさま結婚へGOとなります





結 婚

お見合いが成功すると、すぐさま媒酌人がたてられ、結納→輿入れとコトはスムーズに進んでいきます

結婚式は向かいいれる側の家で行われ、ここで三々九度の盃が交わされるのです

武家の婚礼では、花嫁は白無垢の着物に白い綿帽子

花婿は肩衣に袴

で、女性は結婚すると振袖から留袖に。歯にもお歯黒をつけます




新婚生活

現代では結婚といえばアマーイ生活(?)を思うでしょうが、この時代は新婚旅行もないし、結婚した♪という実感を味わうヒマなどありません

嫁いだその日から、花嫁は家事に追われる日々

炊事・洗濯・掃除・裁縫と、毎日がバトルモード

さらに大変なのは舅と姑

江戸時代は舅と姑は夫よりもエライ存在だったので、お嫁さんは大変でした






セレブは亭主関白・貧民はカカァ天下

「嫁」という立場も身分によっては全然違います

セレブ階級である武士の家は、嫁が逆らうなんて絶対ありえないこと

が、長屋に住む人たちは女性の方がエバってた

というのも、江戸は女性の数がすごく少なかった

結婚は男の幸せ♪という時代だったのであります

一度お嫁に来てくれた女性に逃げられたら困る(次がいない)ということで、女性がエバリまくってました


長屋では、夫が天秤棒を担いで商品を一生懸命売り歩いていたのに、長屋の中では奥さん連中がカルタなんかのバクチをして遊び、ダンナの稼ぎが悪いのよね〜と文句を言いつつ、若い男と遊んだりしてました

ダンナが仕事が終わって疲れて帰ってきても、家事なんかをやらせる奥さんも多くいたそうです


まさに下々は女性パラダイス!?




隠 居

隠居はセレブにとっては楽しみの一つでした

いわゆる定年なんですが、昔の定年はみんながまちかねていた時だったのです

隠居するとフリーダムとなり、今までイロイロ気を使っていたコトから逃れられる

が、こうした隠居を楽しみにしていたのはセレブだけ

一般庶民には隠居などありません

とまぁ、セレブ層は隠居して趣味に没頭することが楽しみだったんですねえ





とうとう死の瞬間を迎えることになりました

江戸っ子の平均寿命は20歳

生まれてすぐに死ぬ子が多かったからですけどね

そういったのを抜かすと、男性は45歳で、女性が40歳(出産で死ぬ場合が多いから)

こうして人生50年と言われていた時代を駆け抜けた江戸っ子

息を引き取ると、湯灌ののちに経帷子を着せられて棺へ

棺の上に邪気を祓う行灯を吊るし、机の上にいつも使っていた茶碗にご飯をいれお箸を立てます

こうしてお通夜は夜通し行われ、その後火葬場へ行き、燃やされることとなるのです