暗闇の日本史           



暗闇の童謡



指きりげんまん


指きりげんまん 嘘ついたら 針千本 飲ます 指きった

子供の頃、一度は使ったことがあるであろう「約束」をする時に使われる唄

これにはとても残酷な話しが隠されているのです

まず「指きり」

これは、遊女が好きな男性に愛の証として「指を切る」というもの

あの頃の遊女は、親から売られたり、売人にさらわれ

なりたくないのに遊女にならされた女性ばかり

そんな遊女の夢は「この遊女街を出て、誰かの妻になり

外の世界に出たい」というもの

遊女は遊女街から一切出ることが出来なかったのです

そのため遊女は、この人と決めた男性に一生愛し続けますという意味で

指を切ったり、入墨をしたりしました

それが「指きり」なのです

さらに「げんまん」は拳万と書きます

嘘をついたら拳で一万回殴りますよというもの さらに針を千本飲まされる


指きり
私はあなたのために指まで切って愛を誓ったのよ

げんまん
だから、裏切ったら一万回殴ってやるわよ

嘘ついたら針千本飲ます
それに針も千本飲ましてやるから

指きった
だから私を裏切らないで 外の世界に連れて行って

という、遊女達の哀しい唄なのでした



はないちもんめ


勝って嬉しい はないちもんめ

 負けて悔しい はないちもんめ

あの子が欲しい あの子じゃわからん

この子が欲しい この子じゃわからん

そうだんしよう そうしよう 


これは「
人身売買」の歌です。

貧しい家庭には「子供を売らないか?」と、人買いがやってきました。

貧しい家庭では「口減らし」のために、子供を売るのです。

売られるのは女の子。

女の子は「
花街」に売られていくのです。

人買いは美人になりそうな子を見て「あの子が欲しいんだけど」と聞きます。

親は「あの子は長女だから・・・。代わりにこの子ではダメですか?」と、別の子を。

親が子供を売るのです。

親は「いくらで買ってくれるのですか?」と聞き

当時の通貨である「一匁(いちもん)」で・・・ということなのです。

「花」は女の子のことで、「はないちもんめ」となるのです。


子買いは安く子供を買うことができたので

買ってうれしい(安く買えて嬉しい) はないちもんめ

親は安くまけられてしまったので

まけて(まけられて)悔しいはないちもんめ

あの子が欲しい!あの子はまけられない!
わからんは、まからん(まけられない)のことです。

あの子が欲しい あのこはわからん

そして親と子買いは相談します

相談しよう そうしよう

で、商談成立。

女の子は安く売られて、男性相手の花街へと売られていくのでした





おちゃらか


子供のころよく遊んだ手遊び

せっせっせーの よいよいよい

おちゃらか おちゃらか おちゃらか ほい・・・

この歌、遊女の歌なのです

おちゃらかは「おちゃらかす」歌で、茶化すという意味

これは男性が、遊女を買うときに茶化すというものからきているとか

貧乏だったため親に売られたり

人身売買されて遊女となってしまった女性

早く自由になりたい

そのためにせっせと働かなければならない

そんな哀しい歌なのです



せっせっせーの 

今晩もせっせ、せっせと働きなさい

よいよいよい

宵はまだはじまったばかりだよ

おちゃらか おちゃらか おちゃらか ほい

ほら、おちゃらかしにお客がやってきたよ

おちゃらかあいこで

どの女にしようか

おちゃらかほい

オレはあの女にするよ

おちゃらか 勝ったよ

オレはこの女を買ったよ

おちゃらか ほい

おちゃらか 負けたよ

あぁ、負けてしまった あの子は買われて私は買われなかった

おちゃらか ほい

そして女同士の張り合いを、旦那衆は楽しそうに見ているのでした




とおりゃんせ


とおりゃんせ とおりゃんせ

ここはどこ細道じゃ

天神様の細道じゃ

ちょっととおしてくだしゃんせ

ご用のないものと おしゃせぬ

この子の七つのお祝いに

お札をおさめにまいります

行きはよいよい 帰りは怖い

怖いながらもとおりゃんせ とおりゃん せ


発祥は川越市の「三芳野神社」と言われています。

この神社がお城の中にあったため、一般人は簡単に
お参りに行くことができませんでした。


年に1度だけ許される参拝の日のみ、神社に行くことが出来たのです。

が、帰りは城内から大事な物を持って帰っていないかどうかと
チェックがすごく厳しかったためこの歌が歌われたといわれています。


これが正しければ、全然怖いお話ではありません。

が、この歌の歌詞の由来は色々あるのです。


一説はずばり「
子殺し

貧乏な農家では、増えすぎた子供に困っていました。

そこで口減らしに子供を捨てに行くという歌と言われています。

また「
水子」のことを唄っているとも言われています。


また江戸時代に関所を通る時には「手形」が必要でした。

お札は「手形」のことと言われています。

手形を持たないものは関所を通れないのですが、
親が危篤という場合、頼み込んで通してもらいました。

が、帰りは手形がないので帰れないということで

行きはよいよい帰りは怖い」と唄われたとも



桃太郎

桃太郎さん桃太郎さん お腰につけたきび団子 ひとつわたしにくださいな

楽しいメロディで始まる桃太郎

が、桃太郎は実は「戦争犯罪人」だったのです

もともと桃太郎が生まれたのは室町時代

以後、桃太郎は江戸庶民にも好かれる童話として語り告がれてゆきます

そして桃太郎は昭和の教科書にも載るヒーローとなっていきました

ところが

第二次世界大戦が始まる頃、桃太郎は軍国主義に利用されヒーローとなっていくのです

そう

桃太郎は家臣を連れ、鬼が島(アメリカ)へわたり、鬼(アメリカ人)をばったばったとなぎ倒す、
戦争のヒーローとされてしまうのです

そして哀しいことに桃太郎は、戦後「戦争犯罪人」として
教科書は黒く塗りつぶされてしまったのです


1


桃太郎さん桃太郎さん

桃太郎さん桃太郎さん

お腰につけた きび団子

腰にぶらさげてる銃を

ひとつ私にくださいな

ひとつ私にください


2

あげましょう あげましょう


あげましょう あげましょう

これから鬼の征伐に

これからヤンキーをやっつけに

ついてくるならあげましょう

ついてくるならあげましょう

3

行きましょう行きましょう


行きましょう行きましょう

あなたについてどこまでも

あなたについてアメリカへ

家来になって行きましょう

みんな一緒に行きましょう

4

そりゃ進めそりゃ進め


それ進め どんどん進め

一度に攻めて攻め破り

一気に攻めて攻めまくり

つぶしてしまえ鬼が島

ヤンキーをやっつけてしまえ


5

おもしろいおもしろい


おもしろいおもしろい

残らず鬼を攻め伏せて

ヤンキーたちをやっつけて

分捕りものをえんやらや

敵の国をうばってやろう

6

万々歳万々歳


ばんざーいばんざーい

お供の犬や猿雉は

みんなで一緒に

勇んで車をえんやらや

華々しく勝って日本へ帰りましょう


さて、黒く塗りつぶされてしまった気の毒な桃太郎ですが

戦後ずいぶんと日がたつとまたもデビューします

もちろん今度は「フツーの桃太郎」として

そして現在に至っているのです