紀伊国屋文左衛門&奈良屋茂左衛門

前回のインタビューですっかり意気投合(?)したお二人に、他の豪商アレコレを聞いてみました〜

最初にコチラから読んだ方がわかりやすいですヨ




紀伊国屋文左衛門&奈良屋茂左衛門
ハガクレ


いや〜、前回のインタビューですっかり意気投合したお二人にまたまた来ていただいちゃいました〜

紀伊国屋

ったく、何でまたワシがコヤツと顔を合わせんとならんのじゃ

ハガクレ

あれ?前回一緒に飲みに行って仲良しになったんじゃ??

紀伊国屋


フン。おぬしには本音と建前ってのがわからんのかいな?だからいつまでたっても下っ端なんじゃ

ハガクレ

・・・。す・・・すいません。でもせっかく来てもらったんで、お話を聞きたいんですけど

紀伊国屋

はぁ・・・(ため息)いいじゃろう。だが、お礼はたんまりしてもうぞ

ハガクレ

えっ・・・。

奈良屋


まぁまぁ紀伊国屋さん、こんな貧乏そうなおなごから何か貰ったってなーーんもならんのじゃないですかね

紀伊国屋

フフ。確かにそうじゃな。まぁいいじゃろ。今度は何なんじゃ?

ハガクレ



エッとですね、今回はお二人から見た他のお金持ちについて教えてもらおうと思いまして。この不景気の中、昔の人はどーんな風にお金持ちになったのかを知りたいんですよ〜。で、成功したお二人に色々な人について語ってもらおうかと思いまして

奈良屋

フフン。ま、いいじゃろ

ハガクレ

じゃあですね、お二人から見て「こいつ、うまくやったな〜」と思う人はいますか??

奈良屋

呉服でもうけた三井じゃろうな

ハガクレ

三井??

奈良屋

そうじゃ。なんといっても「現金安売掛値なし」はいい商売の仕方じゃな

ハガクレ

えっと、なんですかその現金ほにゃららって??

紀伊国屋


あのな、当時は節季払いが当たり前だったんじゃよ。6月と12月にまとめてお客が支払うんじゃ。その間、価格に利息がついていたんじゃ

奈良屋



それまで呉服屋は、得意先だけを回って商売しとったんじゃ。つまり金持ちしか相手にせんかったんじゃよ。が、フツーの町人もちょっとはお金を持てる時代になってきた。そうなると、気に入った呉服が欲しくなるじゃろ?

ハガクレ

そうですよね

紀伊国屋


三井はそこで店頭売りにし、さらに節季払いではなく現金で買えるようにしたんじゃ。掛値ナシで値引もナシ。正札をつけ一般町人が買えるようにしたんじゃよ

ハガクレ

へぇ〜

奈良屋


さらにな、今までは一反でしか買えなかった反物も、切り売りに応じたんじゃ。町娘さんたちは大喜びじゃ

ハガクレ

なるほどね〜

紀伊国屋

あやつ(三井)のとこは今も続いてるじゃろ?三越という名に変わったらしいがな

ハガクレ

えっ!!三越のことなんだ!

奈良屋

ワシんとこの息子と違い、堅実だったんじゃろうなぁ

紀伊国屋

堅実といえば、近江の中井源左衛門じゃな

奈良屋

あやつは山っ気がまるでない男じゃな

ハガクレ

山っ気ってなんですか?

奈良屋


一発でかいのを当てようってことじゃよ。あやつは薬の行商で各地をまわり、地味に稼いだんじゃ

紀伊国屋


あやついわく、「金が溜まらんのは運がないからだという考えは愚かで大きな間違い。金持ちが金持ちになるのは運のおかげではない」と言ったんじゃ

奈良屋

つまり、努力をしたからここまでこれた。運のせいではないということじゃよ

紀伊国屋


さらに金持ちになろうと思えば酒・遊びをやめ、長生きを心がけ、そして始末をしっかりすることだそうじゃ

奈良屋

ワシらは酒も遊びも大好きじゃが金持ちになれたがな。フフ

紀伊国屋

人間遊ぶ時は遊ばなければな。ワシらは運が勝手についてきたんじゃ

ハガクレ

そうですか・・・。でも始末はちゃんとできなかったんじゃないですか?

奈良屋



・・・無視

運といえば、ラッキーなのはあやつじゃ。鴻池じゃ

ハガクレ

鴻池?

奈良屋

そうじゃ。戦国時代の山中鹿之助の次男でな、鴻池進六というのがおったんじゃ

紀伊国屋


山中鹿之助は処刑されてしまったがな、この次男は地味に摂津の鴻池村で「山中酒屋」という酒造をしておったんじゃよ

ハガクレ

へぇ〜

奈良屋



ヤツの酒造蔵で働いておった下男がな、ちと性格が悪くての。たびたび注意しておったんじゃがまったく直らん。とうとう新六はクビにしたんじゃ。その下男が恨みを持ち、いなくなるときに酒樽の中に灰汁をぶちこんでいったんじゃ

ハガクレ

えー。ひどいですね

奈良屋


翌朝、それに気がついた新六は悲しみ、おそるおそる酒樽の中の酒を汲み上げたんじゃ。そして驚いた。なんと酒が澄んでいるんじゃ

ハガクレ

酒が澄んでる??当たり前じゃないですか

奈良屋


当時は酒といえば濁酒しかなかったんじゃよ。灰汁を入れることによって今でも飲まれている「清酒」が出来たんじゃ

ハガクレ

ええー!それってすごいですね

奈良屋



災い転じて福となる・・・じゃな。新六はその澄んだ酒を飲みさらに驚いた。今までに飲んだことのないほどうまい酒だったんじゃよ。さっそく全ての濁酒の樽に灰汁を入れ、江戸へ出荷したんじゃ

紀伊国屋


もちろん江戸は大騒ぎじゃよ。今まで飲んだことのない美味な酒じゃからのぉ。こうして鴻池は金持ち街道まっしぐらよ

ハガクレ

へぇ〜すっごい運の持ち主ですねー!

紀伊国屋

運がいいといえば、茶屋四郎次郎もなかなかのもんじゃて

ハガクレ

茶屋??

紀伊国屋

そうじゃ。あの徳川家康御用達じゃ。なんといっても命の恩人だからの

ハガクレ

そうなんですか?

紀伊国屋


もともと茶屋は中島という名前なんじゃが。室町幕府の13代将軍だった足利義輝が中島家でよく茶を飲んだんじゃ。そのため名前を「茶屋」に変えたそうじゃ

ハガクレ

へぇ〜豆知識ですね〜

紀伊国屋




この中島家の息子が、織田信長が本能寺の変で殺された時に大活躍したんじゃ。信長の盟友である家康も本能寺のすぐ近くにいたんでな、もちろん命を狙われる。なんとしても逃げなければ・・・という時、この茶屋が伊賀路で逃げることを進め、自ら先頭を行き、住民たちに金を与え無事家康を三河へ逃がすことができたのじゃ

ハガクレ

へぇ〜

紀伊国屋


そのおかげで茶屋は幕府御用達じゃよ。じゃがな、家康が死んだ原因は鯛のてんぷらを食べ過ぎた・・・とされておるだろ?この鯛のてんぷらを勧めたのは茶屋なんじゃよ

ハガクレ

ええっ!そうなの!?

奈良屋

皮肉なもんじゃよ。家康はそのてんぷらをうまいうまいと食べ過ぎたんじゃよ

ハガクレ

そうなんだぁ〜

紀伊国屋

他にも変わった商売ややり方で金持ちになったヤツラはいくらでもいますぞ

奈良屋


そうじゃなぁ。死体処理で儲けた淀屋常安や秀吉に虎と豹の皮をプレゼントした海の大名・神谷宗湛とかのぅ

紀伊国屋

いつの時代もアィデアひとつで金持ちにはなれそうじゃがの

奈良屋

おぬしはちぃとばかし頭が固いんじゃよ。フォッフォッフォッ