明治43年 1910年 |
明治43年 1910年 年表 |
1月1日 幸徳秋水 気乗りがしない・・・〜大逆事件の道のり〜 |
去年の爆裂弾を完成させた宮下太吉が、意気揚々と平民社にやってきました 宮下の実行力にあおられた形で、秋水や須賀子、新村などが爆弾を投げつける練習をしました ほんとは宮下は天皇暗殺の実行方法についてアレコレ相談したかったんだけど、どうも秋水の態度が気乗りしてなさそうなのをみて、「なんだよ!こっちは意気込んできたというのに」と、不満タラタラでした |
1月5日 社会主義者の新年会 〜大逆事件の道のり〜 |
幸徳秋水は社会主義者の読書クラブの新年会に出ました ここでこのような詩を 爆弾の飛ぶよと見てし 初夢は 千代田の松の 雪折れの音 「爆弾がふっとんだ初夢をみた でもそれは明治天皇が住んでいる千代田城の松が雪で折れた音だった」というもの これはすぐさま「秋水が作った詩」として政府の情報網に入ってきました |
1月23日 新村・古河 「先生は外そう」 〜大逆事件の道のり〜 |
古河力作が平民社にやってきました この時、秋水は病気のため寝ていました この間に古河と新村が「先生のような年寄りはこういった暗殺計画には向いていない。先生は外そう」と話し合いました 新村はいつも「先生のような人は知識上の伝道をする方がいい。そのほうが主義のためにも利益があります。今回の計画からは退かれるべきです」と思ってました そこへスガがやってきて、スガもこの意見に賛成 3人で計画をたてたのです まず甲が爆弾を投げ、続いて乙も投げる 天皇の乗っている馬車がそのまま前進すれば、丙が爆弾を投げ、後ろに下がったら丁が投げるというもの ロシア皇帝アレキサンダー二世の暗殺計画を真似たものでした で、誰が甲乙丙丁になるか??ということで、揉めてしまい後日くじ引きでということに 襲撃時期も今年の秋ということになりました が、2月になると秋水が親友の小泉三申から執筆を依頼され大忙しに で、3月には須賀子を連れて湯河原温泉へ行き、天皇暗殺計画からは離れていきました この間、宮下太吉だけが爆弾造りをし続けていたのです |
1月 アメリカから、700人の観光団体が日本へやってきました |
1月 七里ガ浜哀歌 |
鎌倉の七里ガ浜で逗子開成中学校の生徒12人と、小学生1人が乗っていたボートが転覆 全員が溺死するという事件が起きました このとき、「真白き富士の嶺」という追悼歌が作られ、有名になりました 一番だけ紹介すると・・・ 真白き富士の根 緑の江の島 仰ぎ見るも 今は涙 歸らぬ十二の雄々しきみたまに 捧げまつる 胸と心 |
3月 東京市内で朝のラッシュアワーが増え始める |
この頃から始まったんですねぇ・・・。朝のギューギュー詰めラッシュ(^^;) |
4月 白樺が創刊 |
5月1日 宮下太吉 女性にメロメロ 〜大逆事件の道のり〜 |
秋水がスガと湯河原温泉へ行っている間、せっせと爆弾を作ってい宮下太吉は、爆弾ケース24個と薬品を密封した箱を部下の職工・清水一太郎の家に預けました ここで太吉は清水の内縁の妻・玉江とできてしまいました そして2人は夫の目を盗んで逢ったりしてました が、狭い田舎町なのですぐさま噂に 上司に女房を寝取られた!!と、怒った清水 太吉の日記には「8日。この夜清水と話して心解」と書いてありましたが、果たしてどうなんでしょう?? 情事の最中に宮下は「俺は天皇を暗殺する。革命が起こったら深川にある米倉庫や三越を爆弾で襲撃するから、着物でもダイヤでも好きなものを手に入れてやるからな」と言ったそうです で、この清水夫妻から、今回の事件がバレてしまうのであります |
5月19日 ハレー彗星が地球に接近!みんな不安になりまくる |
ハレー彗星は、約76年を周期として出現しますが、フランスの天文学者なんかが「人類が滅亡する」といった予言をしたことから、日本でも大パニックに!! 生きているうちに遊んでおこう!!と花柳界は大賑わいになったり、村全員で神様参りに行くところもあったり 昔から彗星が出ると戦争や疫病、日照りや飢饉などの災いを起こす不吉なものという根拠のない噂があり、今回も大騒ぎとなりました ちなみに・・・実はこーいったパニックは日本だけじゃないんですね〜 パリでは死ぬ前に大騒ぎしよう!とカーニバルをしたり、イタリアではローマ法王に救いを求める人が集まりだしたり どの国も似たようなもんですね(笑) あ!ついでに言うと、これだけ騒いだハレー彗星ですが肉眼でとらえることは出来なかったみたいです |
5月17日 スガ またも入獄 〜大逆事件の道のり〜 |
スガは払わなければいけない罰金を払えなかったため、明日からまたも謬獄することになっていました その前に・・・と、古河力作がやってきて天皇襲撃の時の投弾の順番を決めておこうということに こうしてくじ引きで順番が決まりました |
5月20日 宮下の計画がバレる 〜大逆事件の道のり〜 |
昼頃、駐在所の巡査と刑事が、突然宮下の下宿先にやってきました 前日、宮下に頼まれてペン先入れと称するブリキ缶を製造した新田という職工が、宮下のせいで製鉄所を解雇されたと思ったため、警察に密告したのです この時の警察の急襲では、ブリキ缶3個が発見されたただけでしたが、翌日慌てた宮下が清水の家から爆弾を持ち運びました そして工場の天井裏へ隠したのです それを見届けた清水が、22日に製材所の所長に密告したのでした |
5月25日 宮下太吉 逮捕される 〜大逆事件の道のり〜 |
この日、宮下が松本警察によって逮捕されました 秋水はというと、湯河原温泉で原稿を執筆中でした そして27日になり新聞を読むと、宮下検挙の記事を発見し驚愕したのです!! |
6月1日 幸徳秋水 湯河原で逮捕される〜大逆事件の道のり〜 |
この日、秋水は東京に帰ろうとして熱海人鉄道の湯河原停車場へやってきました そこで逮捕されたのです |
特別高等警察(特高ができる) |
大逆事件が起きた後、警視庁は秘密警察として「特別高等警察」を作りました もともと政治運動の取り締まりなどを対象としていた「高等警察」から分裂したもので、「特高」と呼ばれものすごーーーく恐れられました 大日本帝国憲法下にある日本で、反体制的な言論や思想などを弾圧しまくっていきます 特に共産党者に対しての弾圧がすごいものになっていき、第二次世界大戦中は自由主義といった全ての反政府運動や思想も弾圧しまくります 第二次世界大戦中は「憲兵」とともに、国民から恐れられる存在となっていくのでした |
8月22日 韓国が併合 |
ソウルで寺内正毅総監と、李完用首相が韓国併合に関する日韓条約を極秘に調印しました これにより、1392年から続いた李王朝は滅亡し、韓国の国号は朝鮮に改められました 朝鮮総督府がおかれ、寺内正穀が初代総督に就任しました |
9月14日 千里眼の女性・千鶴子が実験を行う |
熊本に住んでいる御船千鶴子という女性は「透視」ができると評判でした そしてとある心理学教授がぜひ実験させてほしいということとなり、上京 東大の学者ら立会いのもと、実験が行われました 文字を書いた紙を鉛で包んだものを20個作り、1個を千鶴子に渡して透視させました そして「盗丸射」と書いてあるといい、文字を的中 が、ぞの実験物を作った人が「そんな文字はない!!」と騒ぎ出し、よくよく調べると当てた物は見本として作ったものでした カラクリはなく、確かに的中させたのですが、なんだかうやむやに終わってしまい、実験は再度やりましょうということに が、翌年千鶴子が毒を飲んで自殺してしまい、謎のまま終わってしまったのでした |
11月3日 在郷軍人会ができる |
兵営生活が終わった青年を予備軍として軍事的に組織する団体は、日本各地にありました それらを統一して「帝国在郷軍人会」を設立しました 最初は陸軍だけだったんだけど、のちに海軍も加わります |
11月 四国借款団 アメリカ満州ゲット作戦 |
満州を狙ってるアメリカの次の手は「四国借款団」をつくるというもの アメリカは中国本土の通貨改革と満州開発を狙って、フランス・ドイツ・イギリスを誘って四カ国で「四国借款団」を結成しました この動きに対してロシアと日本はまたも手を組み、借款団に参加して内部から妨害しようとしました が、アメリカのウィルソン大統領が「清への借款条件はちょっとかわいそうすぎるよ〜」と言い出してくれたおかげで、言いだしっぺのアメリカが借款団から抜けることに こーして日本とロシアはホッとしたのでした |
12月1日 「大逆事件」第1回公判が行われる |
12月26日 富士山で最初のスキー |
横浜に住んでいるオランダ人クラッセルが、富士山で初めてスキーをしました |
人生相談のはしり 「浮世顧問」 |
幸徳秋水とともに平民社を結成した堺利彦が、この月売分社を開きました 文章代理業と浮世顧問という看板を出しました 浮世顧問とは人生相談のことであります |
この年の出来事 |
・魔法瓶が輸入される ・ポケットサイズの文庫本が流行(袖珍本といいました) |